ひとつには,定期借家契約は,必ず書面によって結ばなければならないとし たことです。定期借家契約の内容を口頭で約しても,定期借家型の契約は成立 せず,従来型の借家契約となってしまいます。なお,法律の条文では,「公正証 書による等」という例示がありますが,通常の書面でもかまいません。 普通の人が家を借りるにあたり,契約書をスミからスミまで読むことは実際 には少なく,ポンポンとハンコを押して終わり,というケースがないわけでも ありません。このようなケースを想定してか,定期借家契約を結ぶ際には,も うひとつの手段を講じています。 すなわち,定期借家契約を結ぶ前に,あらかじめ賃貸人は賃借人に対して, 「この契約は,更新がなく期間の満了により確定的に終了するものである」こ とを,契約書とは別の書面を渡して説明し,賃借人が十分に理解したうえで意 思決定をするようにしてあります。 この書面交付による説明をしなかった場合には,契約全体が無効になるので はなく,期間満了により確定的に終了するという部分だけが無効になり,結果 として従来型の借家契約となってしまいます。 なお,賃貸人は,後日のトラブルを防止するために,この書面交付と引き換 えに,賃借人から書面の交付を受けたという受領証を受け取っておくことがよ いでしょう。